Vol.95 美術館と多くの国旗 ~掲揚のルール~
総務課長 田中芳樹
2020.06
美術館の西口玄関側に高くそびえる国旗などを掲揚するポールにお気づきでしょうか。
今回は、県立美術館の掲揚ルールをご紹介します。
ポール3本のうち、常設展だけの会期は、向かって中央に日本国旗、左に岩手県立美術館旗(IMA)、右に岩手県旗という並びになります。
そして、通常、企画展を年6回開催していますので、その企画展の開幕に合わせて、展覧会に因んだ各国の旗を館旗と交換して会期中掲揚しています。
最近では、平成29年10月28日から12月10日まで開催されました「エリック・カール展」は、エリック・カールの出身国の「アメリカ国旗」、平成30年9月8日から11月4日まで開催されました「ブルーノ・ムナーリ展」は、ブルーノ・ムナーリの出身国の「イタリア国旗」、平成31年4月13日から令和元年5月26日まで開催されました「タータン展」は、スコットランドがタータンの歴史に縁が深いことから「スコットランド国旗」を会期中掲揚しているのです。
因みに、日本国内の展示作品の場合は、常設展会期の場合と同様の掲揚となります。
このロケーションは、レストランや2階ロビーの展望スペースなど、館内からも別な視線で見ることができます。旗が傷みやすい雨や雪の日を除き、毎日掲揚しています。舟越保武作の女性像の視線もこの旗を見ているように思えます。
さて、現在、この各国の旗は何か国あると思いますか。
あいうえお順に並べると、
①アイルランド ②アメリカ ③イギリス ④イタリア ⑤オーストリア ⑥オランダ
⑦韓国 ⑧スイス ⑨スウェーデン ⑩スコットランド ⑪スペイン(紋章入り)
⑫スペイン(紋章なし) ⑬スロヴァキア ⑭チェコ ⑮デンマーク ⑯ドイツ
⑰日本 ⑱ハンガリー ⑲フランス ⑳ベルギー ㉑ロシア
の20か国、21種類を数えるのです。
2001年に開館以来、19年が経過しますが、企画展ごとに各国の旗を掲揚しています。
この各国の旗も展覧会の開催を担う一つのシンボルでもあります。
様々な企画展を担当してきた学芸員は、これらの各国の旗を見ると数多くの想い出が湧いてくると言います。
展覧会を開催するうえで、全てが思いどおりに運ぶ訳ではなく、苦労して何とか開幕までこぎつけ、無事閉幕に至ったこともしばしばと聴きます。この苦労も観覧者のお褒めの言葉で報われることも多いのも事実です。この各国旗がその多くの苦労を見てきているのです。
21枚の各国旗と館旗、県旗を並べると実に壮観ですね。
今後とも少しでも増えていくことを望みます。
今日も各旗は、岩手の風を心地よく受けて、岩手の空になびいています。
この地の岩手山おろしは少々きついので、旗も長持ちしません。すぐに、ボロボロになりますが、状態を見て替えています。
次は、何処の国の旗が大空になびきますか、楽しみにお待ちください。