Vol.94 お気に入りの風景(4月から5月)〔盛岡駅から美術館まで〕
副館長 小笠原誠
2020.05
普段、自動車で移動する機会が多いため、街の風景をゆっくりと見る機会が少ないのですが、4月から美術館勤務となり、盛岡駅から美術館までの徒歩移動によって普段なかなか見られない景色に出逢っています。
2㎞ほどの経路には、天気が良ければ岩手山や早池峰山が望めるなど、岩手らしい雄大な風景が広がっています。
まず、雫石川に架かる「杜の大橋」のちょうど真ん中あたりから見る岩手山と雫石川の一体となった光景は毎日見ても飽きないものです。この季節には、河川敷の林から聴こえる様々な鳥たちのさえずりに癒されています。
そして、橋を渡って中央公園に入ると、4月中旬から5月上旬にはソメイヨシノなどの桜の花が楽しませてくれます。また、5月中旬からは、白色の藤の花が咲き、そのあとに紫色の藤の花、5月下旬には県の花である桐の花が見頃となり、花に集まる蜂と一緒に眺めてみるのも趣があります。
そこを過ぎるといよいよ美術館に到着します。美術館の内部は紹介される機会が多いようですが、外観の魅力も捨てがたいものがあります。私のお気に入りは、美術館東側の石畳の通路になります。建物に沿った石畳の微妙な曲線とその色合いがゆったりとした気持ちにしてくれるので気に入っています。
このように素晴らしい環境の中に立地している美術館ですが、今年度は、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、4月から予定していた「ムーミン展」、そして6月から予定していた「Human and Animal」は中止となり、楽しみにされていた方々には大変ご迷惑をおかけしています。
緊急事態宣言が全国を対象に出された際には、美術館も休館せざるを得ませんでしたが、解除された後は、感染防止対策を講じた上で常設展などを再開したところですし、6月からはイベントなども可能なものから実施することとしていますので、散歩を兼ねて美術館を訪れてみては如何でしょうか。
(岩手山と雫石川)
(美術館の外観)