Vol.83 「憧れの変身」
常勤契約職員 永野麗
2017.11
現在当館は企画展「エリック・カール展」で大変な賑わいである。
私も20年前子供たちに「はらぺこあおむし」の絵本を読み聞かせた。
お話し自体は単純ではあるが楽しい仕掛けもあり、読み始めると同時に魔法のように子供たちが絵本の世界に集中するのが手に取るように感じられた。
何度読んでも最後の蝶になる姿を心待ちにし、目を輝かせていた。
困った時の「はらぺこあおむし」といわんばかりに子供たちの気持ちを落ち着かせたい時に絵本を取り出しては読み聞かせたのを覚えている。
あおむしが色とりどりの果物を食べて美しい蝶の姿に変身する。
古今東西を問わず子供時代誰しも変身の物語に魅せられる。
シンデレラ みにくいアヒルの子 スーパーマン スパイダーマン セーラームーン
サナギマン(古い)と枚挙にいとまがない。
強く、あるいは美しく変身して、人を見返したり、悪を懲らしめたりする。
多くの変身ものは主人公の意思が介在し都合よく行われる。
しかし、はらぺこあおむしの変身(正しくは変態というのだろうか?)は、ただただ、無邪気に、無心にいろんな色彩の果物を食べて美しい蝶に変身を遂げる。その無邪気さに私は魅せられる。
こんなふうに変身を遂げたいものだと思う。
人は人によって磨かれていくという言葉があるが、あおむしにとっての果物が自分にとって人であるならば生きている間に多くの人と出会い、さまざまな事を吸収し、人として豊かに変身していきたいものである。。
私は、いくつになっても変身に憧れている。
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