Vol.82 美術館と光
専門学芸調査員 佐藤友紀恵
2017.11
グランドギャラリーに出てみると天窓からの日差しがカーブを描いて床に落ちている。季節によって角度が変わることに最近気づく。美しい。光の破線が細くなったり、間隔が広くなったりする。スタジオから戻るともう消えている。
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夜の青い演出も非日常感が増す。コンサートの夜は音をふんわり包むように光を放つ。いつもより早く美術館を出た帰り道、内側からクリーム色の灯りが差し、無機質の建物が部屋の間接照明のように感じた。公園を優しく照らしている。日没が早まり、照明の美しさを長く楽しめるようになってきた。
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当館に勤務する以前、光の変化に数時間の滞在では気づくことがなかった。木の葉の色付きを見ることと全く異なる時間の流れだ。この大きな建築は彫刻のような存在感を持っている。ぜひ多くの人に見て頂きたいと思う。
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