Vol.119 岩手県立美術館の“通(つう)”な楽しみ方
副館長 多賀聡
2025.03
いつも岩手県立美術館をご利用いただきありがとうございます。
多くの皆様は、年間で6本程度開催される「企画展」や、岩手県立美術館の収蔵作品等を中心に常設展示室に展示される「コレクション展」あるいは萬・松本・舟越展示室の作品鑑賞を楽しむため、さまざまな美術体験ができるワークショップに参加するためなど、いろいろな目的で来館されることと思います。
でも、ゆっくり美術館全体を巡って探検してみたことはあるでしょうか?館全体が解放的で見通しが良い建物なので、意外と全体を見たようなつもりになっていることはないでしょうか。
今回は、意外と足を運んでいないのではないか、こんな場所があったのかと知られていなかったようなところについて、ご紹介したいと思います。
1.屋外展示スペース
1階企画展示室モギリカウンターホールの右手ホワイエの突き当りに、屋外展示スペースがあるのをご存じでしょうか。実はここに出る風除室のドアは、開館時はいつも開放されており、自由に出ることができます。新鮮な空気を吸ってはどうでしょうか。
ここは、普段は何も設置されておりませんが、屋外展示がされる場合もあります。下右の写真は、昨年の秋に開催された、岩手県出身の現代美術の巨匠である菅木志雄の特別展示「揺らぐ体空」で展示された《散立(さんりつ)》という作品です。

ホワイエの突き当りが出入口

屋外展示スペースの展示状況
2.企画展示室内ロビー
企画展示室内には休憩することができるロビーがあることをご存じですか。トイレもあり、観覧に疲れた、少し腰を下ろしたいというような時に、お気軽に自由にご利用いただくことができます。特に誰に断る必要もなく、ご利用いただけます。
ただ、展示室内で目立った案内ができないため、その存在に気付かなかった方も多いのではないでしょうか。
これからは、是非休憩しながらご観覧ください。

企画展示室内・ロビー入口

企画展示室内ロビーの中
3.松本竣介・舟越保武展示室内休憩所
2階の展示室では、舟越保武展示室の右手奥に休憩スペースがあります。こちらにはトイレは設置されておりませんが、静かに腰を下ろしてゆっくり休憩することができます。
意外に気付かれていないのではないでしょうか。

休憩所入口

休憩所の中
4.2階ロビーからの岩手山の眺望
こちらは、ご存じの方も多いかもしれません。
2階ライブラリーの西側にあるロビーからの岩手山の眺望は、岩手山の美しさを実感できるベストスポットで、隠れた名所ではないかと自負しています。
県外から来館されたと思われるお客様が、岩手山が見れなくて残念がっていた時に、本当であればあちらにこのように見えますよとお伝えしたいと思ったことが何度となくあります。
天気次第でいかんともしがたいことでありますが、是非岩手山の姿の美しさもお楽しみいただければと願ってやみません。

2階ロビーからの眺め