岩手県立美術館

　美術館では、毎年みなさまに美術館を“まるっと”楽しんでいただける全館イベントとして、『こんにちは美術館です！まるっと楽しむアートイベント』を開催しています。
　“美術館まつり”に馴染みのある方が多いかもしれませんが、本イベントは、“美術館まつり”を引き継いだ後継イベントです。
　前任の“美術館まつり”は、「誰もが気軽に親しめる美術館」をテーマとして、11/3文化の日に合わせて平成20年度から10年以上実施していた人気イベントでしたが、コロナ禍により令和2年度は中止、令和3年度は縮小開催となり、実施の方向性について検討せざるを得ない状況となっていました。
　検討結果は継続となりましたが、その決め手は二つありました。一つは、当日館内に溢れる楽しそうな声や音です。来館されたみなさまの楽しそうな声はもちろん、イベントで机や椅子を動かす音、大階段を駆け上がっていく足音などが館内に響き、いつもは展覧会が主役の美術館もこの日は館全体がとても生き生きとしていたことです。
　二つ目は寄せられるみなさまの声です。当日のアンケートが好評だったこともありますが、時期が近くなると「今年もイベントありますか？」いう問い合わせも多く、たくさんの方から親しまれているイベントであるということが館内でも認識されていたことです。このことから、これだけ親しまれているイベントを止める選択肢は無いだろう、今まで通りの開催規模は困難かもしれないが、今後も是非継続しよう！となったのです。
　但し、実施日は改めて検討事項となりました。これまでは11/3文化の日に合わせて実施していましたが、展覧会の会期が調整できず、企画展が開催されていない時もありました。美術館といったらやっぱり企画展です。よって、今後は“まるっと”全館を楽しんでいただけるように実施期間は芸術の秋シーズンとして、令和4年度から『こんにちは美術館です！まるっと楽しむアートイベント』がスタートしたのです。
　初年度は講師に大友啓史監督をお迎えした講演会「美術館を旅する」、翌年はコロナ禍以降中止していたミュージアムコンサートを再開し、今年度はテーマ『どんどん！ワクワク！現代美術』とした企画など、いずれの年も成功裏に終えることができました。
　実は、イベント当日朝まで、ご来館いただけるかな、楽しんでもらえるかなと毎年不安な気持ちでいっぱいですが、新しいイベント名になってからも毎年千人以上のみなさまにご来館いただき、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
　今後も美術館を楽しんでいただけるように精一杯頑張ります。来年の全館イベントもみなさまのご来館をお待ちしております。