vol.28 連携への試み
主任専門学芸調査員 主濱建明
2012.10
4月《フォーラム―美術館と学校》
学びの世代にあたる皆さんには、美術館をどんどん学びに活用してほしいと思うのです・・・というのは、このFromStaff、Vol.20の締めくくりでした。これを実現するための試みの一つとして、今年度から実施しているのが、4月に開催した《フォーラム―美術館と学校》、そこから続く《パートナー活動》です。
7〜9月《パートナー活動》
4月28日の《フォーラム》には、13人の、県内の小・中・高等学校ほか教育現場の先生方が集まってくださいました。今ある美術館プログラムの体験ののち、「アートとミュージアムにはかけがえのない価値がある。
美術館ならではの体験と学びの視点で、美術館と学校が連携できないでしょうか」という提起について、参加者の多くが賛同。さらには、今あるプログラムをより良いものにするための《パートナー活動》にも、その後、7人の先生方が名乗り出てくださったのです。
7月7日の《パートナー活動》第1回では、それぞれ参加の動機をお話しいただいたあと、今年度の活動テーマについて意見を交換しました。「美術館活用について、先生たちの経験や認知が少ない」「体験を積み上げていけるよう、まずは小学生を対象とした活動を」などの課題が見えました。また、「5・6年は忙しいから4年生を想定」「低学年はモノづくりがいい」「年齢ではなく経験の多少で考えては」「学習指導要領や教科書での取り扱いと併せて考える」など、まさに先生方ならではの、実感にもとづく意見が交わされたものです。
9月8日は第2回。はじめに現行の図工・美術の教科書を確認したところ、中1に大きく【美術館へ行こう】の取り扱いがあった!さらに学習指導要領を見てみると、やはり中学校で【美術館・博物館等の施設や文化財などを積極的に活用する】【実物の美術作品】【作家や学芸員との連携】といったことが明記されているではありませんか!・・・ここからさらに意見交換を重ねた結果、①「初めて」プログラム=小4〜、美術館の存在を知り・出会い・親しむ活動、②「作品との出会い」プログラム=中〜、作品を知り・選択し意識や記憶に残す活動・・・という2つのテーマまで絞り込んでみたのです。
具体の姿としては、①美術館を知る〜キーワードで探そう②所蔵作品を観る〜作品を1点選びスケッチしよう、などの案が浮かびましたが、実践はこれから、というところ。この秋、児童生徒の皆さんが美術館を訪れるチャンスがあれば、先生とスタッフとの協力で、楽しく学びのある時間をつくっていきたいと思っています。美術館と学校の、片思いではなく両思い、各々にではなく繋がって、という関係が、少しずつ、育まれますように。