岩手県立美術館

vol.20 学びの世代の皆さんへ

 主任専門学芸調査員 主濱建明
2012.2

団体向けプログラム〈鑑賞〉と〈施設見学〉

美術館には作品が展示してあり、そこを訪れる人は、それぞれに作品と対面することでしょう。古今東西の未知のアートへの新鮮な期待もあれば、同じ作品をくりかえし見て、感激を新たにすることもあるかもしれません。ひとり自分の感動を温めながら歩きたい方もいれば、湧き出る思いを誰かに話したい方も?初めての方と経験豊富な方でも、求めるものも異なってくることでしょう。

 私、子どものころの美術の体験は、学校での学び(だけ)でした。先生に示された課題で絵を描いたり立体をつくったり、教科書の図版を見る鑑賞の時間もあったような。家では漫画やアニメ、特撮番組に夢中になり、そっくりに描いたり新しいキャラクターを考える、ひとり空想遊び。描く・つくるコトや、モノに心魅かれるようになったのは、そうした子どものころの学びと体験に始まったように思います。

年齢が上がり、美術の学びに専門性や社会性といった広がりが加わりました。より高度な課題が与えられ、挑戦したのちの達成感もあれば、自分にがっかりする経験も。そのころ、友人と一緒に博物館や美術館に出かけ、ああだ・こうだと言葉を交わす楽しみにも、ようやく出会ったように思います。いつしか、経験豊かな方の話(=深い思考)を聞くことも豊かな時間と思えるようになりました。作家の伝記を読み、思考や行動を想像し、価値観や生き方なんていうのも考えるようになって…年を重ねた(爆)。
いま美術館では、優れた作品を鑑賞することに加え、展示室での解説トーク、講演会やワークショップ(幼児から大人まで)、ライブラリーのコーナー、施設の見学、映画やコンサートに至るまで、さまざまな体験ができます。つまり、美術と美術館について、見る・聞く・体験する、知る・調べるなど、幅広い学びができる場となっているわけですね。
それは、いつでも・誰でも・何度でも可能なわけですが、特にも学びの世代にあたる皆さんには、美術館をどんどん学びに活用してほしいと思うのです。

岩手県立美術館

所在地
〒020-0866
岩手県盛岡市本宮字松幅12-3
電話
019-658-1711
開館時間
9:30〜18:00(入館は17:30まで)
休館日
月曜日(ただし月曜日が祝日、振替休日の場合は開館し、直後の平日に休館)
年末年始(12月29日から1月3日まで)