vol.17 美術館まつり
主任専門学芸調査員 土澤典雄
2011.11
美術館まつりの様子
11月3日文化の日、岩手県立美術館では、恒例となった美術館まつりが開催されました。
これは、文化の日に合わせ無料観覧日になる美術館をまるごと楽しんでもらおうという企画で、今年で4回目を数え、展覧会を無料で観ることができるほか館内あちこちでイベントが行われました。各展示室では学芸員や友の会ボランティアによる作品解説、アートスペースでは友の会会員による「ミニ朗読会」が行われ、スタジオではキャンドル作りやつみき塗りの体験ワークショップ、グランド・ギャラリーでのコンサートやワークショップ「『ユメノマチ』ができるまで」、さらに、ホールでのシネマ上映、ライブラリーでは特集を設けた図書の紹介と10年間の企画展ポスターやチラシの展示、スタンプラリーなどなど、そして、外ではケータリングカーが店を連ね、美術館周辺の公園で食事を取りながら過ごす方もいて、1日中多くのお客様で賑わいました。
私の担当は、キャンドル作りのワークショップで、キャンドル作りの手伝いをしました。工程は小さめのガラスコップやビンに色砂を重ね入れ、その上にビーズや貝殻などを置き、湯煎した透明のジェルを流し込んで最後に芯を浮かべるだけのとてもシンプルな作業ですが、思いのほか仕上がりはとてもきれいで皆さんに好評をいただきました。ただ、順番を待つ人でスタジオの前が行列になってしまい、大変ご迷惑をお掛けし、また、材料も不足し最後の方まで体験できなくなり反省と同時に人気の高さにびっくりしたところです。
震災後しばらく自粛ムードが続き美術館まつりの開催についても議論をし、可能な規模での開催となりました。企画展も予算のない中、できる限りの美術館活動をしていこうという考えのもと展覧会を開催してきましたが、やはり例年のような来館者数を数える日はなく、これほど多くの方が来館された日は、今年初めてだったと思います。こんなに賑わう美術館に一瞬戸惑いさえ感じながらも一方で多くの方が美術館にいるということに安堵感を感じ、開催して良かったと思っています。
お客様の中には、静かな展示室で作品をゆっくり鑑賞したい方もいらしたかと思います。正直、美術館で1日に複数のイベントが重なることはありません。むしろイベントのない日が多いので普段はひっそりと静かな美術館なのです。ぜひ、美術館まつりをきっかけにして、美術館に興味を持っていただき常設展示や企画展を観覧いただきたいものです。
今年は手作りの展覧会ということもあり、展示関連講演会やワークショップ、その他の講座等についても予定通りに進まず、広報活動も不十分なところがありましたが、これからは少しずつ平常に戻ると思います。皆さんが美術館に関心が持てるように頑張って行きたいと再認識していますので、いままで以上に美術館に足を運んでいただきたいと思います。
